〜 サイレントヴォイス 〜
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著:麻乃ゆうサマ
「はぁ…。かなり遅れてしまったな」
トレントの森上空。
陽の光が眩しい初夏の空に、一際目立つ赤い影。
女性の影だ。
手に持った大剣を握りなおし、自分の真下に広がるトレントの森を見てニッと笑う。
「さぁ、お前はこれからどうする…?」
彼女は森に向かって一直線に降りていった。
*****
トレントの森、漆黒の石版前では精霊達がそれぞれ自分の場所へ帰ろうとしていた。
「そんじゃ、またなんか変わったことあったら呼んでくれ」
「無理は禁物ですぞ」
「我、帰る、後、オリジン、元気、願う」
「アルテミスに当分いたずらはしないように言っておきますね」
「ばいば〜い〜」
その後、場にはオリジン、シルフ、ウンディーネ、フェンが残された。
『3人ともここに残ってどうする気なんだ?』
オリジンが閃光象形文字を槍の先から放った。
それを見て3人は一度下を向いて考え、それからほぼ同時に言う。
「「「声が出るようになる方法を探します!」」」
『そうか…。すまないな、いろいろと心配をかけて』
「いえいえ、それでは何か手がかりになるものを探してきますね!」
「あ、待ってくださいよぅ!」
ウンディーネとシルフは元気よくその場から走り出した。
その後ろ姿が森に溶けていく。
元気だな…とオリジンは思い、
ふと隣で同じように2人を見送っているフェンに目をやった。
フェンはしばらく2人の走っていった方向に手を振っていたが、
オリジンの視線に気付き彼の方を向いた。
「どうかしましたか?」
「……………………」
オリジンは黙って首を振る。
フェンの表情はいつも通り、にこにこと笑っている。
でも、どこかに何かを隠している。
そんなフェンに少し恐ろしさを覚えながら、
オリジンは石版にひょいと飛び乗り、空を仰いだ。
「空に何かあるんですか〜?」
言いながらフェンもちょっとだけ開いたオリジンの隣のスペースに座り、空を見た。
『分かっているくせに』
その文字を見たフェンは、
「やっぱりばれてましたか」
と言って舌をぺろりと出す。
「でも、オリジンも分かってるんでしょう?」
『嫌でも分かってしまうからな』
「そう言えばそうでしたね…ほら、降りてきますよ」
ぐおおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!!!!!
フェンの言ったとおり、炎に包まれた「何か」が猛スピードで降りてくる。
…と言うより、落ちてくるという感じだ。
その「何か」はオリジンとフェンにぶつかりそうになったが、
2人の直前でぴたりと止まった。
そして、炎が中の人影の頭にある2本の角に吸い込まれていく。
「…久し振りだな、2人とも」
人影…フラムベルクは挑戦的に笑った。
「そうですね、お久しぶりです」
負けずにフェンもにっこりと笑う。
フラムベルクはそれを無視し、オリジンのほうへ視線を向けた。
「オリジン…お前の声が出なくなったことは知っている。
…解決法を教えてやろうか?」
「!!」
反応したのはフェンだった。
耳としっぽを警戒時の状態にして。
そして、何とも言えぬ厳しい表情でフラムベルクを睨みつける。
「そんなの…信用していいんですか?」
「一番信用できないのはお前だ」
キッパリハッキリと言い返された上、隣のオリジンに頷かれ、
フェンの耳としっぽがたれ下がった。
「ひどいです〜;そんなに私信用ないですか〜?」
「性格激悪イヤミネコが何を言う…。で、どうする?解決法を聞くか?」
フラムベルクの問いに、オリジンは黙って目を伏せた。
「狼ですよ!」とわめくフェンの口を塞ぎながら。
「…やっぱり!フラムベルクさんなら知ってると思いましたよ」
「…よくこんな事を予想しましたね」
「フェンビーストさんが出てきた瞬間に
「あともう1人必ずくる!」って思ったから」
石版の後ろにある茂みの中で、
シルフとウンディーネがさっきからの会話を盗み聞きしていた。
普段オリジンの後を追っているだけあって、隠れるのが得意になっていたらしい。
ほふく前進状態になっている上、小声で話しているからばれることは…。
「…まぁ、ゆっくり考えればいいが…後ろの2人はどうする気だ?」
『あとでマクスウェル説教の刑に回す』
「あ、ばれてましたか;」
がさがさと草をかき分け、2人が出てきた。
ウンディーネは「ほら、やっぱりばれた」という表情ではぁ、とため息をつく。
「それで?オリジン様の声が出るようにするにはどうすればいいんですか?」
「…本人が承知したら教える」
シルフとウンディーネがオリジンの方を見る。
オリジンは腕組みをしてしばらく考え込んでいたが、やがて槍を握り直した。
『まさかまた生け贄がどうとか言うんじゃないだろうな』
「…さぁ、それはどうかな?」
フラムベルクは余裕の表情を見せる。
オリジンの心を代弁するかのように、
森の動物たちは辺りをきょろきょろと見回し、不安げに巣へと帰っていった。
あとがき
…予告…というか、6話の最後の文を実行に移せませんでした…(滝汗)
「多分」!
次回になると思います。
いや今回フラムさんが出てきたモノで…。
で、フラムさんとフェンさんとオリジン様のやりとりが楽しくてつい;
では、次回に期待…してもいいのかなぁ…(汗)
(それにしてもいろいろと羽風さんの設定でやっちゃってますね〜;
勝手に使っちゃってゴメンナサイ;)
To be continued........
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サイレントヴォイス第七話!フラムベルクの登場です!!
これでラグナロック3人集の完成(?)Vv
なんかかっこいいなぁ・・・フラム・・・
僕の設定でやってくれるなんて嬉しいですよ〜(><)
って、今回コメントごちゃごちゃ;:
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