〜 サイレントヴォイス 〜
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著:麻乃ゆうサマ
夜。
そんな名の付いた暗闇が、またこの地に戻ってきた。
今夜は曇っていて月が隠れている。
…暗い。
あの、すべての元凶となった夜…満月の夜とは対照的だ。
雨露もなく、また、それに降りかかる光もない。
「はぁ………」
その辺りにあった切り株に座り、ウンディーネがため息をついた。
なかなか寝付けなくてここで物思いに耽っていたのだ。
時折空を仰ぐ。
でも、月はない。星もない。
また下を向き、いろんな事を考える。
かさっ
乾いた草を踏む音。
それに気付いてウンディーネが顔を上げる。
…フェンがいた。
「どうしたんですか?」
「なかなか眠れなくて…ここで考え事をしてたんです」
「へぇ…。実は私もなかなか眠れなかったんですよ」
そう言うとフェンはウンディーネの隣に座った。
「聞かせてくれますか?あなたが何を考えていたのかを」
一瞬、風が通りすぎた。
その音を聞いたあと、ウンディーネの口が開く。
「………しまったら………」
「え?」
「もしも…あの状態がずっと続いて…一生あの声が聞けなくなってしまったら…」
「…どうなると思いますか?」
「…どうなるんでしょう…想像もつかなくて……」
涙。
その暖かいものが、ウンディーネのきつく握られた手に落ちた。
「………………」
無言で立ち上がるフェン。
ウンディーネへ目を向け、優しい顔でいう。
「あなたが悩むのはあなたの自由です。
…でも、その顔は…オリジンに見せないでくださいね。悲しみますから」
振り返って、歩き出す。
ウンディーネはその後ろ姿をただ見送っていた。
涙を拭って。
*****
翌朝、暗闇は空の彼方に去り、皆のいるところが日光に照らされる。
「ん…ふぁぁ。ありゃ、オリジン様〜どこですか〜?」
寝ていたときは確かに隣にいたオリジンを探し、シルフが辺りを飛び回る。
それを見ていたルナが木の実を拾っていた手を止めて言った。
「シルフ、オリジン様なら湖に行きましたよ」
「あ、ホントですか?ありがとうございます〜!」
蔓延の笑顔を浮かべ、湖の方向へハイスピードで飛んでいくシルフ。
それを見たルナがくすっと笑った。
「本当に気持ちの切り替えが早い子ですね…」
「…オリジン様ぁ〜」
湖の前で座っていたオリジンがシルフの声に反応し、振り返る。
シルフはオリジンの隣に座り、にっこりと笑う。
「おはようございますv」
それに対して、オリジンは手元にあった槍から宙に閃光を放ち、
それを『おはよう』と象らせた。
オリジン考案ノームネーミング「閃光象形会話法」だ。
この会話法があったからこそ、シルフが今明るくいられる。
これを見つけたのは、昨夜(ウンディーネとフェンの話が終わった辺り)
…ノームが(シルフも)なかなか眠れなくてマクスウェルの元へ行ったときだ。
↓シルフ回想
「何とかオリジンと話す方法ないかな〜何も言えないってさみしいよ〜」
ノームがそう言ってマクスウェルにすがった。
マクスウェルは「う〜む」と唸って腕組みをする。
「儂も今考えておったのじゃが…これがどうにものぅ」
「…あれ、オリジン様」
シルフ達の振り返る先には、静かに笑いを浮かべたオリジンの姿があった。
3人はその笑みに疑問を覚えたが、
オリジンはそんなのは気にも止めずいつも持っている槍を取り出す。
そして、その槍から「こんな時間にどうした?」と象った閃光を放った。
「!!!」
3人はそれを見て驚愕の表情を隠せなかった。
だが、シルフのそれはすぐに笑顔に変わる。
「うわぁぁぁいっ!!この方法ならオリジン様とお話しできる!!!!」
思い切り飛び出してオリジンに抱きつく。
その笑顔には、喜びの涙もあった。
「オリジン様、どうやってそんな技を?」
シルフの頭を撫でているオリジンにマクスウェルが問う。
オリジンはまた槍の先から文字を象った閃光を放つ。
『フェンにやってみてはと言われた』
そう書いてある。
「フェン〜?フェンが言ったの〜?あの人頭いいね〜」
『そうだな』
閃光は問いに対してぱぱっと形を変える。
「あ、そぉだ〜この方法をさ〜「閃光象形会話法」って名付けよ〜」
シルフ回想終わり
こうして、ここに「閃光象形会話法」が生まれたのだ。
…だが、その切り札もすぐに失われていることを、彼らは知らない。
あとがき
「閃光象形会話法」、そのまんまですね(苦笑)
ルナ姉様(謎)のネオン文字をみてて思いつきました。
派手ですよねぇ…(遠い目)
今回、ちょっとは明るくしようと思ってこんな風に書きました。
でもちょっとごちゃごちゃで訳分からなかったかも(苦笑)
次回はもっとちゃんと書きます;;;
だから許してください;;;
To be continued........
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サイレントヴォイス第六話。閃光象形会話法発生(謎笑)
フェンさんが考えたらしいですVvあれでも頭はきれるんですよね;
狼の時と対照的でバカ=天才。遅い=速い。かっこ悪い=かっこいい(が目標;)
が、羽風のフェンさん設定でございます♪(そんなこと聞いてない)
でもそれも失われちゃうみたいで;どうなるんでしょう?
あ、あと狼はバカ力の肉弾戦だけどフェンさんは魔法使えるってしてました?
(だから聞いてないっつーの;)
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